ADHDと創造性:ADHDが持つクリエイティブな才能について
ADHDのポジティブな側面として、「ADHDの人は創造性が豊かである」という理論をよく耳にしませんか?
ADHD(注意欠如多動性障害)は、クリエイティブな側面から見れば、障害ではなく、「大きなスキル」です
あらゆる研究や専門家の文献から、ADHDの人は、クリエイティブな才能に満ちていることが分かっています。
また、私自身、ADHDのセルフチェック項目に95%以上当てはまっていますが、クリエイターとして、会社を作るまでに稼ぐことができています。LINEスタンプがヒットしたり、個人出版した本がAmazon総合1位になったり、ヴィレバンやコンビニでグッズ化されたり、時には印税だけで月に数百万円というを稼ぐこともあります。
普段は、デザインや文章執筆の仕事を企業から受注していますが、ほとんど誤字脱字があります。しかし、クライアントの方々には、別の部分で評価をしてもらっているため、誤字脱字は受け入れてもらっています。また、手帳をビジネスで使うことはほとんどなく、計画を立ててても、やっている内容がどんどん変わってしまいます。
自分が専門家であり、スキルがあり、提案ができ、顧客に寄り添う気持ちがあり、そういった土台があれば、ADHDの弱点を相手は受け入れてくれますし、長所を効率よく生かすことができます。
そこで、今回は、ADHDと創造性について、深く掘り下げていき、ADHDの人がより社会で快適に過ごせるような情報を提示していければと思います。
本記事の目次
ADHDな人はなぜ、創造性が高いのか?
理由1:注意欠如が「突然アイデアが降りてくる」を促すから
ADHDの分類の一つに「不注意優勢型」というのがあります。ザックリ言えば、不注意優勢型とは、注意不足が凄いタイプです。ケアレスミスが多い、約束を忘れてしまう、物をよく失くす、ということをよくしています。
さて、ここからが皆さんに考えて欲しいところです。じゃあ、なぜ、ADHDが「不注意認定」されるのかというと、それは、AHDHが、何かの枠の中で活動しているからです。
テストで問題を理解していてもケアレスミスをしたらスコアは下がりますし、学校の授業で忘れ物したら怒られてしまいますよね。
しっかりと定められたマニュアルやルールの中で活動すると、ADHDはかなり短所になり、世間はこの部分を強くクローズアップしていると思います。
しかし、クリエイティブな側面では、不注意が優勢であることは、1つの物事に対して、まったく関係ない多くの思考を手繰り寄せる立派な才能となり得ます。
クリエイティブの業界は、マニュアルやルールがありません。自分で思考し、その思考を生かす力が求められます。ここで、臨床神経心理学者のウィリアム・スティクスラッドのADHDによる指摘をピックアップしたいと思います
「中を見る」と「外を見る」の切り替えがむずかしく、白日夢が多くなりすぎたり、自分の考えに集中しすぎたりすると、反芻しているときには、十分な切り替えができていない。目のまえの何かに集中しなければならないのに、思考にはまりこんでいるのだ。
ウィリアム・スティクスラッド,ネッド・ジョンソン(2019)『セルフドリブン・チャイルド―脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』,p.160-161,NTT出版
これって一見短所に聞こえますが、クリエイティブな場面においては、長所に転換します。というのも、クリエイティブな場面では、「いかに即座に多様な思考にはまりこむかが」が、創造力の源になるからです。非クリエイティブな人材は、思考にハマり込みたくても、ハマれないんですよ。だから、ADHDの人は、創造的なシチュエーションでは、とても力を発揮するんです。
事務作業やチェック作業など、「ミスをしないこと」に価値がある仕事の場合、ADHDは短所になりますが、限られた時間内にアイデアや企画や作品を編み出すという仕事では、ADHDはかなりの長所になり得るのです。
よって、ADHDは創造性に溢れていると解釈することができます。
理由2:多動性が「普通に収まらない個性」を作り上げるから
AHDHのもう一つの特徴的な分類が「多動・衝動性優勢型」です。簡単に言えば、「一つの事にじっとしれいられない体質」と言えるでしょう。
多動・衝動性優勢型は、「時給でひたすら同じ作業を繰り返す仕事」には決して向いていません。一般職の一般基準では短所に映るでしょう。
しかし、気力や行動力や思考力が多動で衝動的であるということは、「他人と違う個性を積み重ねていること」でもあるのです。
極論、「真面目に言われたことができなければできないほど、個性は際立っていく」とも言えます。多くの人が同じことを真面目にやっている中で、ADHDの人だけが、いろんな思考や衝動で、感覚や知性を磨いているわけです。
クリエイターやアーティストとは、「飯が食える異常性」を身に付けています。「飯が食える異常性」とは、「一般性から上手に逸脱する体質」です。
ADHDの多動性や衝動性を上手く生かすことができれば、クリエイティブな才能を発揮し、社会で大きく活躍することができるのです、
ADHDとドーパミンと想像力
報酬系の機能が弱いことが、ADHDの創造性を高める
人間が「やる気を持続する」うえで大事なのが、ドーパミン分泌です。つまり、日常的な出来事にドーパミンがきちんと分泌できていれば、物事に集中できるようになります。
しかし、ADHDの人は、ドーパミンの受容体が少ないという特徴があるのです。
興味深いことにADHDの特性を持つ人は報酬系におけるドーパミンの受容体が少ないという。これでは報酬系がうまく働かず、快感を得るには通常よりも多くの報酬が必要になるということだ。
要するに、報酬中継を活発化させるためには、生まれつき普通よりも多くの刺激が必要な人たちがいるということだ。アンダース・ハンセン(2018)『一流の頭脳』,p.109,サンマーク出版
モチベーションの働き方は、性別によっても異なるが、ADHD、不安障害、うつ病などによっても、まったく違う。ADHDの子供はほかの子供よりドーパミン濃度が目立って低いので、なんらかのかたちでモチベーションを活性化させる手助けが必要になる。
ウィリアム・スティクスラッド,ネッド・ジョンソン(2019)『セルフドリブン・チャイルド―脳科学が教える「子どもにまかせる」育て方』,p.136-137,NTT出版。
ADHDの人は、何とかしてドーパミンを分泌する対象を見つけようとします。手っ取り早く、その場で自己完結できるもので、ドーパミンをなる早で分泌させたいと考えるのです。
そこで、最適なのが、妄想や想像です。妄想や想像はタダで、他人と関わることなく、自由に注意を逸らせます。
すべての研究を見渡すと、覚醒を生み出すには、恐れよりも、ポジティブな予測やユーモアを活用するほうがメリットが大きいことがわかる。ユーモアとポジティブな予測はドーパミンとアドレナリンの放出を促す。
デイビッド・ロック(2019)『最高の脳で働く方法』,p.135, ディスカヴァー・トゥエンティワン
色々な妄想にチャレンジし、良い刺激となる妄想の世界を探し当て、自分をなんとか落ち着かせようとします。
結果的にADHDであることが、他人よりも圧倒的に多くの妄想や想像を積み重ねる機会を促し、クリエイティブになっていくのです。
ADHDとワーキングメモリと創造力
ADHDの創造性的な出来事で脳が活性化する
ADHDのは報酬系におけるドーパミンの受容体が少ないことを指摘しましたが、だからこそ、ADHDは「何か自分のドーパミンを分泌するものはないだろうか…」と、1つのことから注意を逸らし、多動するわけです。
そして、想像や妄想は、ADHDのドーパミンを分泌するにはぴったりです。想像や妄想には際限がないからです。どこまでも彷徨えるわけです。
ADHDにとって、注意散漫な時間はユーモアな時間なんです。ユーモアはドーパミンとアドレナリンの放出を促します。
コルチゾールが低レベルに、ドーパミンが高レベルに保たれ、オキシトシンが豊富に分泌され、セロトニンが高レベルで安定し、脳の働きを観察する力が息を引き取る瞬間まであなたを引きつけてやまないことを願う。
デイビッド・ロック(2019)『最高の脳で働く方法』,p.471,ディスカヴァー・トゥエンティワン
上記が結局は、自分の脳が最高に働く瞬間ですが、ADHDにとって、自分独自の衝動的で散漫な妄想や想像こそが、最高に脳が働く瞬間なのです。
だからこそ、企画やアイデアやネタを求めれた際に、普段の彷徨いが生きてきます。
一般の人が自由に彷徨いたくても彷徨えない広範囲で深い創造性を、普段のADHDの気質がプレゼントしてくれているんです。
ADHDらしく輝けるフリーランスクリエイター
フリーランスなら自分自身で強みと弱みを自由に提示できる
これは私の個人的な経験からも強くお勧めしたいのですが、ADHDはフリーランスなクリエイティブ職がぴったりだと感じています。
フリーランスは結果がすべてです。だから、作業中にアニメを見たり、昼寝したり、やる気を一気になくして現場を離れたり、いきなりお酒を飲んだりしても大丈夫です。
フリーランスなら、仕事は「ほどよいテキトー」が成り立ちます。もちろん、後述する「ADHDがクリエイティブ職で成功するために必要なこと」をなるべく満たす必要はあります。
しかし、ADHDらしい努力の積み重ねで成功しやすい分野だと強く実感しています。
フリーランスは注意欠陥でも多動でも許される
正直、自分はライティングの仕事が一般的なフリーライターの数倍はしますが、誤字脱字は毎回めちゃくちゃあります。どう頑張っても治らないので、仕事を頼んでくれる前に、その点をちゃんと説明しています。
しかし、クライアントに対して、別のベネフィットを用意していて、そこでめっちゃ感謝されています。なので、クライアントさんも、誤字脱字が多い点について、怒られたりもありません。
逆に、デザインやコンサルなどの別分野の仕事を追加で貰うことのほうが多くあります。
フリーランス体質は時代にもフィットしている
変化の激しい時代の中で、「安定した働き方」はもはや存在しないと考えるほうが、長期的には賢明です。複業マインド、複業スキルを早めに積み上げておくと、時代の変化にも強いビジネスパーソンになることができます。
そのため、ADHDの人がフリーランス的な動きを実体験し、向き合うことは、時代にもマッチした行動だと言えます。
ADHDが創造性を開花させるために必要な5つのこと
ADHDがクリエイティブ職で成功するために
ADHDのバッドケースは、「注意散漫で衝動的で多動するから使い物にならない」という人材になることです。ADHDがハッピーになるケースは…
あいつは集中力すぐ切らすし、多動で普段は落ち着きはないけど、絶対にいいアイデア出すし、絶対にいいもの生みだすから、他の人では任せられない、あいつだけの価値があるよな
という人材に成り上がることでしょう。ADHDというのは、創造性の才能において「原石」でしかありません。
ADHDであることが、結果的にダイヤモンドとしてピカピカに眩しいぐらいに煌めくためには、以下の5つの力をある程度高めることが必要になります。
必要なこと1:アウトプットスキル
まず、ここがめちゃくちゃ大きな壁です。妄想や想像はすごくクリエイティブでも、具現化できれば意味がありません。
プランやアイデアが素敵で、そんなプランやアイデアを出せる自分に強いプライドを持っていても、アウトプットスキルがないと、結局は「口だけ野郎」に成り下がってしまいます。
自分もアウトプットは大嫌いなんですが、スキルが高くなると、「割りと楽しめる」ようになります。自分が具現化できる自己効力感を持つことができるんで、思いついたことをカタチにしたい衝動にも駆られます。ADHDの衝動性が、作るエネルギーへより変換されていくんです。
「だが学習とは前に向かって進むものだ。感情面で前進するので、理解するほどに自信がつく。認知面でも前進するから、理解するほどに自由度の高い活動を求めるようになる。専門性が高まれば、新規性のある、非構造化問題で知識とスキルを実践したくなる。
アーリック・ボーザー(2018)『Learn Better 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』,p.134,英治出版
アウトプットスキルを積み上げる最初の時間はすごい飽きたり、落ち着きがないかもしれません。しかし、そこを根気よく乗り越えれば、ADHDの才能はより開花されます。
ADHDの創造性は、自身が身につけたアウトプットスキルと表裏一体なのです。
必要なこと2:体力
体力を自然に見つけておくと、自然に忍耐力が増します。集中力のなさも体力でカバーできます。運動自体にも、エンドルフィンやドーパミンを分泌する効果があります。運動は認知機能も高めます。
ADHDは思考が煩雑にマルチタスキングするため、脳が疲れやすい傾向にあります。脳の疲れと体の疲れを同じレベルにすると、入眠(寝つき)の質が良くなります。
自分のオススメはマラソンです。運動ですっきりとした疲れを創出すれば、自然に全身が疲れ、一気に眠くなります。そのため、夜中にスマホで数多くのアプリを行ったり来たりするような多動的な行動をする前に、睡眠欲が芽生えます。
必要なこと3:自己対話力
ADHDの中には「単にムシャクシャする」「衝動をやみくもにぶつける」といったケースもあるでしょう。ADHDな気質に対して、あまりにも反射的に行動すると、ぜんぜん創造性は磨かれません。
落ち着かないとき、衝動が走るときに、「広い視野」と「深い俯瞰」で悶々とするからこそ、思考や想像が駆け巡るわけです。
何かを感じた時に、自分がもう一人の自分と話すような「自己対話」を磨くことで、ADHDの創造性は大いに高められていきます。
必要なこと4:コミュニケーション能力
コミュニケーション能力はあるに越したことはありません。コミュニケーション能力を磨けば、注意散漫であることは、「いろんな思考からオモロい話題を引っ張ってくる能力」にすり替わります。
相手からは「よくそんな質問思いつくね!なんかいつも話してる人たちより楽しい!」と思ってくれるようになります。
他人と話すことへのマインドや振る舞いが慣れてしまえば、ADHD的脳によって、あなたは「楽しい会話を演出できる人」になります。
ビジネスの場でも注目され、潜在能力が認められる機会が増えていきます。
必要なこと5:ニューロハック
脳科学的な観点から、自分自身の処世術を磨いていくことはADHDのかたにとっては、とても重要です。ADHDは脳がフル回転します。脳をパワフルに普段から動かしているため、脳の仕組みに即したケアをきちんと行いたいところです。
脳科学的を適用させる手法は、「ニューロハック」「ニューロハックス」「ニューロハッキング」などと言われます。ニューロハックを勉強することで、ADHDの秘めた可能性もより腑に落ちてきます。
ADHDは「創造性」と「生産性」の価値を理解しよう
ADHDは「生産性」で自分を否定しないようにしよう
ADHDの人に特に考えて欲しいのは、「創造性」と「生産性」の違いです。生産性に目を向けると、ADHDは煙たがられるかもしれません。
じっと聞いていることが正しいとされる授業、決まった形式の中で問われるテスト、一定のペースの生産性を保つ時給の仕事、マニュアル通りにこなすことが評価に繋がる仕事、こういった場では、とにかく「生産性を失わないこと」が優先されます。
しかし、創造性の本質は、生産性とは全く違います。
創造性の評価は、アイデアが下りてくれば、前後の文脈はあまり関係ありません。落ち着きがなかろうが、集中力にムラがあろうが、結果的に良く創れば、評価や対価を得ることができます。
創造性とは突発的で、衝動的で、ADHD的なんです。生産性を徹底しても、創造性は磨かれるわけではなく、むしろ、ADHD的な才能を磨くことのほうが、よっぽど創造的なのです。
最後に:ADHDは常に「特性」でしかない
ADHDの「特性」を活かした環境や状況をプレゼントしていこう
以上、「ADHDと創造性」について、本サイト独自の分析で掘り下げてきました。結果として、ADHDは一つの特性に過ぎず、ADHDの活かし所と活かし方次第で、大きな特長になり得ることが理解できたのではないかと思います。
そして、ADHDは創造性を求めらるシチュエーションで、創造性を後押しするアウトプットスキルやコミュニケーション能力が土台にあれば、大きな武器となるわけです。
私自身、会社員を経て、フリーランスで独立し、今では法人化をして、デザインやライティングを含めた様々なクリエイティブな仕事を行ってきました。
ADHDの方が、フリーランスマインドセットとクリエイティブアウトプットスキルを身に付けることは、ADHDの本性ととてもマッチしていると強く感じています。
そして、できる範囲で、コツコツと、運動による体力、人間味のあるコミュニケーション能力、ニューロハックによるセルフコントロール力を備えれば、ムラやアラのある性格や行動を抱えながらも、最終的には成功にたどり着くことが多くなるはずです。
ADHDであることに悩むより、受け入れてしまうと、心も楽になります。「ミスをしないこと」や「安定して同じ作業を正確にする」以外の仕事はたくさん存在します。
根本的にADHDを解決する方法だけでなく、自分の個性や特性を長所にしてしまう手段も念頭に置いて、行動や目標を設計してみて下さい。
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