掃除をすると、仕事のパフォーマンスが上がる科学的理由
タスクや作業として、掃除を後回しにしていませんか?ディレクターであれば、ディレクションに関わることが「本筋の業務」であり、掃除は「付加的な業務」「汚れがひどくなった時にやればいい」と考えているビジネスパーソンもいるでしょう。
しかし、掃除や手入れを「第一」に行うことで、本筋の業務のパフォーマンスが抜群に高まるとしたら、どうですか?
もしくは、掃除をするあなたの姿を見て、職場やクライアントの秩序に好影響を与えられるとしたら、どうですか?
掃除は、仕事のパフォーマンスを高めるパワフルなドーピング行為になるでしょう。しかも、無料で合法で手軽に実践できます。
そこで、今回は、掃除や手入れをすると仕事のパフォーマンスがある科学的理由を解説していきます。そして、仕事や夢を成功に導くための、掃除・手入れのベストな取り入れ方についてまで言及していきます。
それでは、さっそくお掃除をバスターしていきましょう!
本記事の目次
整理整頓された環境は脳のパフォーマンスを最大化させる
掃除はすべての行動の「自律性」を高めてくれる
脳科学、神経科学的なアプローチで行動を変える「ニューロハック」の観点から言えば、掃除は非常に脳に良い影響を与えてくれます。
掃除はストレスの原因となるコルチゾールを低レベル西、ドーパミンを刺激してくれるからです。
掃除は、目の前の状態がキレイになっていく過程を自分で目にすることができます。単に居心地が上がり、ストレス原因を減らすことができるだけでなく、「自分の力で環境を良くしている」という自律性を感じることができます。「環境を自分の力でコントロールしているんだ」という感覚は、ドーパミンを分泌させる役割を持ちます。
出社して掃除をすることで、後に行う仕事への自律性(コントロール感)も増していきます。仕事でやるべき課題が達成したくなる対象へと組み込まれていくのです。
ゴミ屋敷を作る人は、多くが「セルフネグレクト」状態に陥っていると言われています。セルフネグレクトとは、自分自身のあらゆることに興味も持たず、放棄した状態を指します。自身のことを放棄するのは、自分のことに関して、ドーパミンが分泌されなくなってしまうからです。ゴミ屋敷が「ゴミがどうにもならない」という自律性の低さを与え、それが自己の関心を奪っている状態とも言えますよね。
要は、定期的にバランスよく掃除を取り入れれば、脳のパフォーマンスは高まり、問題となるほどに掃除を取りれなくなると、脳のパフォーマンスはかなり奪われてしまうことが言えます。
時間に追われ過ぎて、掃除をすること自体がストレスになっては本末転倒です。精神的に余裕を持って掃除を行うスケジュールしていくようにしましょう。
掃除は脳の回復力と一転集中力を高める
掃除はマインドフルネスを促してくれる
仕事の最後にゆっくり掃除の時間を取るのも良いでしょう。情報刺激が多い現代では、脳は基本的に疲れています。さらに、現代人は脳の回復が、日々に追い付かない状況にも陥りがちです。
スマホによって情報刺激を24時間絶えず受け取りがちだからです。アプリやSNSのランダムな通知は、脳のドーパミンシステムに影響を与え、依存度を強化させていきます。すると、脳が「常に煩雑に情報を追っている状態」を好むようになります。自分から脳が疲れた行動を好むようになり、集中力が必要なことに対してドーパミンを分泌できなくなり、力強く行動できなくなります。
脳を回復するためには、座禅や瞑想のように、「ただ、その瞬間に身を任せる」時間を作り出す必要があります。座禅や瞑想はシングルタスクの訓練にもなるため、一点集中する力も強くなります。
掃除は座禅や瞑想と同様の要素を持っています。何も考えずに、掃除に集中することで、脳は回復し、シングルタスク能力も高まります。仕事の最後に無心になれる、無になれるような掃除を行い、椅子に座ってコーヒーを飲みながら落ち着きましょう。
仕事は1日だけでなく、翌日も、それ以降も続いていきます。脳の回復力とシングルタスク力を高めるためのマインドフルネスな施策として、掃除はとても有効だと言えます。
掃除が秩序に乱れによる悪癖を減らすから
掃除は人々の理性に影響を与える
行動科学者のK・ケイゼル、S・リンデンベルク、L・ステッシュが行ったショッピングモールで行った研究では「落書き」があるかどうかで、人々へ与える影響が大きく変わってしまうことが分かりました。
買い物客が停めた自転車のハンドルに広告を結びつけ、その後の行動を追跡すると、ショッピングモールの路地に落書きがない場合は、広告を捨てていく人の割合は33%、落書きがある場合は、その割がなんと69%までと急上昇するという結果となりました。
掃除によって、落書きを消していれば、広告を捨てずに持ち帰ってくれる確率が増えることになります。そう考えると、クライアントを自社に呼び込む部屋は綺麗にしておくべきでしょう。営業先へ訪問し部屋に通された際は、担当者が来るまで少しだけ綺麗にしておくと良いでしょう。
単に過ごす場所の掃除だけでなく、私たちの外見の清潔感や精神衛生にも同様のことが言えるはずです。外見の清潔感があれば、潜在顧客へアプローチした際に広告を受け取り、読み返してくれる可能性も高まるのは言うまでもありません。
掃除という衛生管理が、自分たちの行動をよりよくマネジメントする大きな可能性を持っているのです。
掃除は「背中で語る」多大な影響を与える
説得や叱咤よりも「掃除」が人を変える
K・ケイゼルらが行った別の「通り抜け禁止」の実験でも、同様の結果となりました。通り抜けられないようにと道に「フェンス」と「通行禁止の標識」を付けているのですが、そのフェンスには「自転車をフェンスに繋げて停めないで下さい」という注意書きも表示していました。
実験では、フェンスを完全には閉じずに「体を横に向けてするりと通り抜けられるほどの隙間」を開けました。
結果、フェンスの周囲に何もない環境では、通行人がフェンスを通り抜けた割合は27%でした。しかし、フェンスに4台の自転車を繫いで停めた場合、82%の人が隙間を通り抜けてしまいました。
ある規範に対する乱れを目撃すると、別の行動に関する規範も乱れることの良い例です。
この実験からは、「背中で語る」の大切さを学ぶことができます。どんなに行動を促すために説得したり、叱咤したりしても、上司の行動、会社の環境が普段から乱れていると評価されているなら、説得や叱咤は一時的な変化しかもたらさないかもしれません。
なぜなら、上司や会社の背中は社内にいる限りにおいて、常に可視化され、刺激として受け取るからです。
ドラマかなんかで観たことがあるのですが、清掃作業員のような服装で会社の中を掃除している人がいて、「知らないの?あの人がウチの会長だよ」なんてシーンを見たことがあるのですが、まさに、その会長は背中で語って、大きな影響力を与えていると言えますよね。
掃除の認知を変えることが最重要
掃除に対してポジティブな認知にすり替える
成功を手にするためのノウハウとして、掃除はかなり軽視されています。掃除は本業の根本的なスキルを高めるわけではないですが、培ったスキルを日頃からより良く発揮させるためのカンフル剤になってくれます。
だからこそ、能力を蓄えた人ほど、掃除を積極的に取り入れるべきです。あと、出来ることが増えると、思考も煩雑になります。立場が上に行くほど、実績が増えるほど、マルチタスキングが脳を疲弊させます。結果を出していけばいくほど、掃除はあなたのパフォーマンスに相乗効果をもたらしてくれます。
掃除をビジネスに有効活用するのであれば、まず行うべきは、「掃除の認知を変える」ことです。掃除に対する検索ニーズをリサーチすると、そもそも掃除そのものを毛嫌いしている印象があります。
「掃除 したくない」
「掃除 嫌になる」
「掃除 めんどくさい」
「掃除 大嫌い」
「掃除 うざい」
掃除は「ついでにやる」「しかたなくやる」というネガティブな認知を今すぐ捨てましょう。掃除を趣味のように捉えると、趣味を楽しむだけで、仕事のパフォーマンスがぐんぐん高まるような機運を感じられます。
掃除をしながら、脳の報酬系が刺激されやすくなるでしょう。気疲れの対象となる掃除が、気を養う対象になっていきます。そして、実際に場所も綺麗になっていきます。
最後に:掃除に対して自由に関われるようになろう
掃除に背中を押してもらうくらいの感覚で取り組む
以上、掃除をすると、仕事のパフォーマンスがある科学的理由を解説し、適切な取り入れ方を提案してきました。掃除に対してポジティブな認知を持ち、余裕あるスケジューリングで上手に組み込めば、本当に仕事へ良い影響をもたらしてくれます。
私自身も、掃除は「単なる負担」という認知から、「脳への大切なサプリメント」という認知へ変わりました。すると、ふとした瞬間に掃除をする機会が増えました。掃除をしながら、「思考がクリアになり、安堵感と仕事へのやる気が高まってくる」のをより強く感じられるようになりました。
掃除を含めた家事を積極的に行う機会も増えるため、家庭内でも喜ばれます。仕事のパフォーマンス以外の恩恵もあるわけです(笑)
掃除に対して真剣になる必要がありません。「あっ、掃除する機会がある!やった!ここで掃除しといて、脳や心に良い影響与えといて、掃除に人生の背中を押してもらおう!」ぐらいの軽いノリでいいんです。
掃除も重要な仕事の一つとして、自身のビジネスライフに最適に組み込んで、業のパフォーマンスをどんどん高めていきましょう。
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