予祝の効果を科学的に解説!一歩間違うと破滅の道へ
予祝とは、文字通り「未来を予め祝う」行為です。予祝には「夢が叶える」「理想が現実にする」「目標を達成する」効果があると言われています。
予祝は、世の中にある種受け入れられ、予祝を勧める自己啓発本から、「予祝日記」「予祝手帳」なる予祝グッズ、さらには、予祝パーティーまで存在しています。
そこで、今回は「予祝」の効果を科学的側面から切り取っていきます。
結果的には、予祝はやり方を間違うと、自分の生産性やパフォーマンスを大きく下げ、夢や理想からますます遠ざかることが分かりました。
あなたの「予祝」、もしかして、余計なお祝い「余祝」になっちゃってるかもしれませんよ!
それでは、本題に入っていきましょう!
予祝は脳の仕組み的には「逆効果」だった!
エビデンス:予祝をすると、努力するかわりにリラックスしてしまう
ニューヨーク大学心理学教授ガブリエル・エッティンゲンの著名な実験に「強く願えば夢はかなう」を確かめた実験があります。
ガブリエル・エッティンゲンの実験によると、人間の脳はフィクションと現実を見分けることが非常に不得意であることが分かりました。
そのため、夢の実現を強く願うと、脳はすでに望みのものを手に入れたと勘違いして、努力するかわりにリラックスしてしまう
エリック・バーカー(2017)『残酷過ぎる成功哲学9割がまちがえる「その常識」を科学する』,p.361,飛鳥新社
さて、重要なのはここからです。予祝は、エッティンゲンの指摘する「夢の実現を強く願う」ことよりも、脳に対して夢と現実をより曖昧にしていると思いませんか?
だって、「実際に祝っちゃた」わけですからね。
ということは、「夢の実現を強く願う」よりも、予祝は、さらに「脳がリラックスしてしまい、努力への粘り強さ」がなくなる行為だと言うことができます。
エビデンス2:予祝によって、脳がゴールの接近を意識すると達成力が下がる
予祝によって、夢や目標への「ゴールの近さ」を意識してしまうと、行動力や努力のパフォーマンスが下がるかもしれません。
1分間50回のタッチパネル運動で、残り20秒の時点でゴールが近いことを意識すると、脳の血流は激減する。(諏訪東京理科大・篠原菊紀先生との共同実験)。
林成之(2016)『脳に悪い7つの習慣』,p.69,株式会社幻冬舎
マイアミ大学医学部脳神経外科などの脳神経の権威的なキャリアを持つ林成之教授によると、物事の途中における「完成した」「できた」「達成した」といった言葉は、脳にとって「否定語」であり、脳に「とまれ!」と言っているようなものだとしています。
予祝をすることは、「脳にもう止まれ!」と強く投げ掛けてしまう側面を持つとも言えるでしょう。
自己報酬系群の働きをうまく活用するには、物事をもう少しで達成できるというときにこそ、「ここからが本番だ」と考えることが大切です。
林成之(2016)『脳に悪い7つの習慣』,p.66-67,株式会社幻冬舎
「ここからが本番」という意識は、予祝をしていない方が、強まりそうな感覚ですよね。予祝は夢を叶えたり、目標を達成したりするためには、逆効果になることが言えそうです。
予祝と自己効力感
予祝は成功の中級者や上級者以外には効果が薄い
予祝ってかなり楽観的な行為ですよね。それに、予祝がモチベーションになるには、予祝を通して、自己効力感を得られる必要があります。
自効力感の生みの親であるスタンフォード大学の心理学者、アルバート・バンデューラは、自己効力感を磨く4つの学習モデルのファーストステップに「成功体験をする」ということをあげています。
結局、私たちの「できる」「達成できる」という感覚は、実質的な成功体験が求められるのです。
そして、実質的な成功体験を積み上げ、高い自己効力感を持った人にこそ、予祝のような楽観的な手法が生きてくるのです。
予祝を生かすにも、予祝を切り取るセンスが必要
当たり前ですが、予祝を夢実現や目標達成に生かすには、予祝を現実的に切り取る視野やセンスが必要です。
だからこそ、予祝は成功の感覚を多く広く深く知っている人ほど効果があります。
成功は成功を生むのは、成功体験を積むほど、成功のために必要なものがわかっているからです。
成功者ほど、1回の予祝で得られるインスピレーションやヒントが多いんです。
予祝で成果を引き寄せた例として、孫正義さんや羽生結弦さんが挙がってきますが、彼らの予祝はかなり繊細で鮮明なイメージトレーニングとなっているわけです。
予祝とドーパミンシステム
予祝を上手く利用すれば、モチベーションが高まる
神経伝達物質で有名なドーパミンの観点から、予祝を捉えていきましょう。
ドーパミンは欠かすことのできない神経伝達物質で、私たちの学習や努力の促進に大きく関わっています。
何かが私たちの期待以上に良かった場合、腹側被蓋領域から腹側線条体へより多くのドーパミンが放出されます。この現象は「報酬予測誤差」と呼ばれています。
このことから、予祝をすることで、成功の先にある世界が「自分が思っていた以上に良い景色だ」と腑に落ちれば、あなたは、その世界を掴むためにより前のめりになります。
結果的に、高いモチベーションと勢いのある努力で物事に取り組むことができるようになるでしょう。
ドーパミンシステムの観点から、予祝は効果ありだと言えます。
注意:予祝をし過ぎると、ドーパミンが放出されにくくなる
予祝をすることによって、夢や成功が自分の期待できるものである必要があります。
そのため、予祝をし過ぎると、予祝慣れして、夢や成功の疑似体験が脳の「報酬」にならず、夢や成功を描いてもドーパミンが放出されにくくなります。
予祝日記や予祝手帳は繰り返せば、ただの目標達成のための日記や手帳に成り下がるでしょう。予祝をしている感覚はなくなってくるはずです。
予祝でお酒を飲んだり、予祝で他人とパーティーをする人は、月に1回程度にするのが良いと感じています。
人間のドーパミンシステムから言える予祝の真の効果とは、自分が顕在的な意識で描いている夢や目標が「本当に達成したいものか」を確かめることができる点です。
汝自身を知るツールとして、予祝は効果が期待できるでしょう。
予祝と脳の自律性と確実性
予祝がセルフコントロールを上げる可能性もある
神経科学者とビジネスリーダーを一堂に集めた世界的イニシアチブである「ニューロリーダーシップ・サミット」を創設したデイビッド・ロックの著書『最高の脳で働く方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)によると、物事に対してわずかな曖昧さを感じるだけでも、扁桃体が活性化することが分かっています。
曖昧さとは、現実から未来に向けて、「自分をコントロールできるという感覚」と「自分の見通しの正確さ」の二つと言えます。
前者は自律性、後者は確実視えです。この二つが欠けると、曖昧さは助長されます。
すると、「行動主体性」の欠如が起こるわけです、
先のことを決められず、一瞬一瞬何が起こるか予測できないという感覚が生じると、曖昧さはどんどん強まっていきます。
予祝により、現実と未来のギャップを埋められる感覚を得られ、現実から未来への見通しが明瞭になれば、予祝は夢を叶える力を高めてくれると言えるでしょう。
夢を叶える予祝のポイント
ポイント1:予祝は超短期の設定をする
予祝は、「10年後の自分を前もって祝う」といった遠い未来よりも、「翌日の会社の立ち振る舞いを祝う」という超短期を設定するべきです。
予祝するなら、祝うべき未来は「具体的で小さく」を心掛けましょう。
予祝日記や予祝手帳は、翌日や1週間後の自分を祝う内容を書き綴ることを私は強くお勧めします。
結局、予祝って突き詰めると、予祝じゃなくなるんです。スピリチュアルなエピソードはさておき、予祝で現実的に効果を出している人には何が起きたかというと、
小さな具体的目標を立て、小さな施策を作て、向き合うことがとても上手くなっている
のです。脳科学的に言えば、自律性に向き合い、不確実性を消すことが上手になるのです。
この結果、日々のストレスも減り、1つの仕事へ取り組む際に煩雑な思考が浮かばずにワーキングメモリもフル活用することができます。
ポイント2:予祝は内向的に自己対話を掘り下げる
一番ダメなのは「何も考えずに未来を祝うこと」です。思慮のない予祝は、非モテ男性が判断材料を持たずに、むやみにキャバクラで疑似恋愛をするようなものです。
予祝は内向的な時間であるべきです。内向的に掘り下げるからこそ、現実と予祝した未来を結び付けるイメージを掴める可能性があるわけです。
「予祝しちゃったからには、これは全体に後には引けないな」ぐらい悲観主義の人が、予祝に内向的になれるため、予祝からヒントを得ることもできるでしょう。
外向的に何も考えずに、予祝交流会でハジけて、パァーと飲んで、「予祝最高!俺の未来絶対に手に入る!」というのは、意味も効果もなく、お金も時間も飛んでいきます。
最悪のケース、予祝そのものが目的化する可能性もあります。予祝は遊びじゃないんです。
最後に:予祝より失敗のレジリエンス
小さなプロセス踏んでいく達成感を報酬にしよう
以上、予祝を科学的な視点から掘り下げてきました。予祝はやり方を間違うと、時間とお金を浪費し、自分の首を絞める行為になりますが、予祝から自分の将来を見い出すこともできることが分かりました。結局は、予祝は「目標達成力を磨くきっかけ」となるかどうかで、その効果がの分かれ目が大きく変わると感じています。
私自身は予祝にまったく魅力を感じていません。プロセスの先に実現や達成があり、祝杯があり、味わい深い祝杯の旨味を最も引き出す材料がプロセスだと思っているからです。プロセスが味をつけてくれるから、お祝いが報酬になります。プロセスを一つ一つ乗り越えること自体も報酬なんです。
祝いそのものでドーパミンがぐっと出るような体質ではなく、小さなプロセス踏んでいく達成感でドーパミンがガンガン出ちゃうような体質のほうが、自分としては達成や実現へ力強くなれると感じています。
失敗こそが、最高の贈り物であると認知しよう
超絶過酷な環境を乗り越えた人々のメンタルを科学的アプローチで切り取った『STRONGER「超一流のメンタル」を手に入れる』の一節には、以下のような言葉があります。
失敗はつねにあなたへの贈り物になる
失敗が贈り物?たしかにおかしな考え方かもしれない。
しかしレジリエンスのある成功者にとっては、当たり前の考え方だ。ジョージ・S・エヴァリーJr,ダグラス・A・ストラウス,デニス・K・マコーマック (2019)『STRONGER「超一流のメンタル」を手に入れる』,p.46,かんき出版
予祝とはまったく逆の考えですよね。上記の引用書籍の著者は、精神医学と行動科学の専門であるジョージ・S・エヴァリーJr.博士。書籍には様々な科学的な解釈が散りばめてありますが、「予祝」というフィルターを通して私が身に染みる一節は「失敗はつねにあなたの贈り物になる」という自己啓発的表現でした。
そうなんです。予め失敗することも大切です。予祝ならぬ「予敗」です。失敗から学べることはとても多くあります。もちろん、「予敗」が高い効果をもたらすには、成功を狙う努力が前提となります。
予祝をきっかけに本質を変えることが大切
今回の予祝の記事を通して私が感じたことは、一瞬一瞬に深い思慮と広い視野で向き合うことの大切さです。予祝をきっかけに、日々の行動に見つめなおすフィードバック機能を確立させれば、あなたのパフォーマンスはとっても高まっていくはずです。
予祝があなたの小さな目標設定と行動と分析を促せば、目標を取り扱うスキルは日々上達します。より曖昧で壮大な目標を実現する力も高まってきます。小さな目標達成を続けて、自己肯定感を積み上げ、積み上がったスキルやセンスで物事を解釈すれば、予祝は「実りあるイメージトレーニング」へ様変わりします。
そう考えると、予祝そのものを突き詰めると、実質的には、目標達成や自己内省のスキルを磨く「一つのきっかけ」と言えるかもしれません。予祝をするなら、本質的な自己変革のきっかけにしたいですよね。
ぜひ、今回の記事も参考にしてみて下さい。
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